2007年11月14日水曜日

心理学研究法 第7回 (11月12日)

いつのまにかもう第7回。来週は小テスト。

きょうのテーマは剰余変数の統制。実験を行う上で最も難しく最もおもしろい側面である。きょうのリアクションペーパーには具体例があってわかりやすかったというものが多くて一安心。その一方で,(とりわけ再履の学生に多いが)小テストが不安というものも目立った。(念のために書き添えるが,出席カードはまず出席番号順に並べ替えてチェックを行い,そのあと名前を見ないで感想を読むため,再履かどうかということくらいはおおよそわかる。)

これまた念のために書いておくが,左のLINKSにある神戸親和 心理学研究法ファイルにある,

第3回 研究全体の流れと5つの研究法1.pdf
第4回 研究全体の流れと5つの研究法2.pdf
第5回 リサーチ・クエスチョンと仮説.pdf
第6回 実験的方法.pdf

これらが小テストの範囲。ごく基本的な内容(心理学を学んでいく上で知っておくべきこと)を理解できているかどうかを確認するのが小テストの目的である。今回のリアクションペーパーにも「言葉が難しい」という感想が寄せられているが,なぜそのような「難しい言葉」を使わなければならないかを考えてみてほしい。これについては,次回のQ&Aでも扱う予定。

2007年11月9日金曜日

学習心理学Ⅱ@松蔭 第6回 (11月8日)

きょうは言語行動とルール支配行動。スキナーの著作の中で最も議論を呼び,最も難解とされる言語行動の導入として,獲得時の随伴性によって分類できるマンド,タクト,エコーイックの3つだけを紹介する。ルール支配行動が臨床的な,また日常的な問題を理解する上で,学生の関心を惹きやすいと感じるが故に,このテーマをシラバスに載せたというのが本当のところ。
言語行動については避けたい気がしなくもないのだが,ルールについて話すとなると,単に「随伴性を記述した文章」とは定義しにくい。いきおい「タクト」について説明しなければならなくなり,言語行動について導入部分だけでも話す必要が出てくる。

尤も,言語行動は行動分析学を一般の人たちに理解してもらうためのキーとなっていることも否めない。以前は異なる文脈で尋ねていたのだが,今回の言語行動の導入として「ヒトとヒト以外の動物の違い」を書いてもらった。リアクションペーパーに回答が書かれていた36枚のうち,ちょうど半数の18枚が言語であったように,おそらく一般には言語はヒトとヒト以外の動物に線引きをするときにまず最初に思いつくもののひとつであろう。その言語行動も他の,レバー押しに代表されるオペラントとして行動随伴性によって形成されて,維持・抑制されることを理解すれば,行動分析学全体をより深く理解できるだろう。また,行動分析学が「意識」を言語行動であると定義していることから,行動分析学が心的な過程を無視しているというこれもまたよくある誤解の一つを糺すことにもなるだろう。

次回は小テスト。2つの条件づけについては範囲に含めないから,いつもの場所にある第2回から第4回の3回分がテスト範囲。理解しているかどうかをテストしたいのは,いつもそうなのだけれど,日常的な行動を行動分析学でどのように説明しているかということ。後期に入って実験的な内容も含んでいるのだけれど,結局は人間の行動を理解するための手段に過ぎない。要はそこで使われている概念を日常的な行動の説明に使えるほど理解できているかどうかが鍵である。

2007年11月6日火曜日

心理学研究法 第6回 (11月5日)


予定より少し多めにビデオを見る。アイの初期の実験の様子(コップ重ねも含めて)や今回は見ていないがローレンツの実験の様子などは,もう長い間何度も見直しているけれど,毎回それなりに楽しい。ビデオ自体というのもそうだし,学生の反応を見るのも含めて。

たまたま先週の学習心理学の授業でもそうだったのだけれど,ラットのレバー押しとか自動反応形成のビデオは,その様子自体を「とても興味深い」と感じる学生は多くない。オペラント条件づけで,オペラントの定義を理解して,しかも,私たちの日常行動が持っている「機能」がレバー押しで抽象されていることを理解できるようになるには,行動分析学の理念やその基盤としている哲学である徹底的行動主義をある程度理解してからでないと難しい。

尤も,私は学部2年生のとき,ラットのレバー押しを実験演習の実験供覧の授業の後,もういちど動物実験室に自分から出かけていって見せてもらった覚えがある。今考えると実にナイーヴだったのだけれど,ミュラーリャー,重さの弁別,要求水準etc.どんな実験でもその実験自体も楽しく感じたし,さらに,そのようにして何かが「少しでも」わかっていく過程に感心していた。そしてそうしたわかるまでの過程,わかることの喜びのようなものを,学生に伝えることができればいいと,いつも思う。リアクションペーパーに,ネズミが可愛かったとか面白かったというものが必ず1~2枚はあるのだけれど,逆に可哀想というものもそれと同数以上あるというのが実態。

授業で紹介したサイ・モンゴメリの「彼女たちの類人猿」(平凡社)は親和の図書館には入っていません。また,ほーほー堂をはじめ多くのオンライン書店で入手できず,amazonのマーケットプレイスに現時点で4冊あるだけのようです。希望があれば,吉野まで。

2007年11月4日日曜日

悲しい性



きのうきょうとお出かけ日和。きのうは仕事だったのだけれど,きょうはお昼前から六甲山にお出かけ。神戸に来る前に住んでいた大阪も嫌いではなかったけれど,事ある毎に20年間住んでいた東京に帰りたいと思っていた。けれども神戸に住んで1年半余り,東京に帰りたいと思うことはなくなってしまった。逆に学会などで東京に出かけると早く神戸に戻りたいと思うまでになってしまった。

神戸の沢山ある魅力の一つは山と海。日本三大夜景のひとつの六甲山からの眺めは,昼間に見てもすばらしい。眺めながらふと思い出したことがあった。ああ,人間というものは,欲深いものなのだ,あるいは悲しい性を持つものなのだと感じたこと。

つい先日のこと,ある学生と話していたら,彼女が住んでいるのは明石大橋が間近に望めるとあるマンションの22階。さぞやかしすばらしい眺めを毎日毎夜楽しんでいるのだろうとうらやましがったところ,彼女は一言,「飽きました」。悲しいかな,おそらく100人が見れば100人が感嘆するであろう眺めをもはや彼女は当初ほどには楽しめないとは・・・。急いで書き加えなければならないのは,これが彼女個人の問題ではなく人間一般の問題であること。つまり,パヴロフ型条件づけの馴化かオペラント条件づけの飽和化のいずれかは判然としないが,同じ刺激を繰り返し経験すると,その刺激が持っている反応(パヴロフ型で言うところの定位反応)を引き起こす力やその他の反応を強化する力(オペラントで言うところの強化力)は弱くなっていってしまうのである。本当かどうかは知らないが,○○は三日見れば・・・という常套句はこうした現象の日常例と考えることもできるのである。それではどうすればよいか。遮断化すればよいという至極単純な答えが返って来るであろう。

神戸に住んでいても,ときどき山に登り,そのすばらしい眺めを楽しむのが分相応という以前に,人間の性を考慮したやり方かと思ったことであった。

11月に入ってから,このブログにもカウンターをつけてみた。読んでくれている人が若干名はいることがわかってちょっと嬉しい。

お断り: ここに示した画像は,ビバ! 夜景というサイトのものを無断使用しています。きょう出かけたのは,まさしくこの場所でした。問題があれば,削除いたします。

2007年11月3日土曜日

嬉しい知らせ

つい先日書いた内容を今年度もまたサポートする事実が2つわかった。嬉しい知らせである。

ひとつは,親和の児童教育学科から43名が小学校の教員採用試験に現役合格したこと。卒業生を含めた26名が神戸市の小学校教員に合格しており,後者の数字は,国立大学法人の兵庫教育大学,大阪教育大学,あるいは親和より規模の大きな私立大学を凌いで大学別ではトップの数字なのだそう。

もうひとつは,大学院の心理臨床学専攻の修了生が受験していた臨床心理士の資格試験の合格者について。最終的な実数は把握できていないが,1次試験の受験者20名あまりのうち,9割以上が合格しているとのこと。まだこれから2次試験を控えているが,これも嬉しい知らせである。ちなみに,昨年度も75%程度の最終合格率となり,開設以来昨年度までの4年間で50名程度の資格取得者に加えて,今年度もその数字を順調に積み上げることができそうである。

先日も書いたが,親和のいわゆる受験のための偏差値は必ずしも高くはない。また,学費等のことも関係しているのだろうが,第一志望で入学してくる学生の数も決して多いわけではない。けれども,入学後,彼女らが真摯に取り組み,教職員がサポートした結果としてこうした数字があがってくるのは,ほんとうに嬉しい話である。手前みその話になってしまうけれど,良いこともそうでないこともきちんと対外的に知らせるのは大切なことだと思う。

2007年11月1日木曜日

心理学科の居場所


尊敬する友人(と呼びたい)のひとり,関西学院大学の中島定彦先生がこの春から在外研究員としてシドニー大学に滞在されている。今更ながら気づいたのだけれど,彼のブログ(シドニー日誌)の初期の記述の中にこんなものがあった。

シドニー大学の「School of Psychology」は「Faculty of Science」に属しているので、まとめて邦訳すれば「理学部心理学科」。他に理学部は、「生物学」「化学」「地学」「科学史科学哲学」「数学統計学」「分子生化学」「物理学」の「School」がある。このことからも心理学が自然科学の1つとして位置づけられていることがよくわかる。

これは,私が学位を取得したUCLでも似たようなものである。心理学科 Department of Psychology は,生命科学部 Faculty of Life Sciencesに所属しており,同じ学部には,解剖学・進化生物学(+医学史), 生化学・分子生物学,生物学,人間コミュニケーション科学,薬学,音声学・言語学,生理学が学科として並んでいる。ここでもやはり心理学は自然科学の一部であることがわかる。

UCLでのスーパーバイザーProf Phil Reedはウェールズ大学のスウォンジー校に異動して数年になる。現在はヨーロッパ行動分析学会の会長の重責も担いつつ,基礎と臨床の両方で活躍中。スウォンジー校の心理学科人間科学部 School of Human Sciences に属しており,応用社会科学 Applied Social Sciences, 児童学 Childhood Studies, スポーツ科学 Sports Sciencesと共に名前を連ねている。

同じ学問であってもそれぞれの国にはそれぞれの歴史があるから,同列に論じることができないことは承知の上で,せめて心理学が「文学部」にいる状況は脱したいと思っているのは私だけではないはずなのだけれど・・・。

学習心理学Ⅱ@松蔭 第5回 (11月1日)

きょうは2つの条件づけの関係。私が学生から大学院生だったころには,もう終わりかけていたけれど,今でも嫌いではない二要因説の話。Brown & Jenkins(1968), Williams & Williams (1969), Jenkins & Moore (1973)の3つと,ラットの自動反応形成をビデオで見てもらった。

ただでさえ小難しい話に加えて,ビデオが暗めなので教室を暗くしなければならす,半数近くが眠っていたように見えた。私自身は議論の展開自体を面白く感じるけれど,典型的な実験であればあるほど,多くの学生には自分の関心や興味やイメージの範囲から遠ざかってしまうのかもしれない。さて来年度はこの話はしないことになってしまうかもしれない。リアクションペーパーにもあまり好評な反応は見られず・・・(涙)。

いつものように,ここに本日分のファイルをアップしました。ビデオは今のところ上げていません。また,授業中に触れた,グーグル・スカラーは,本当に便利な検索ツールです。もちろん日本語のものも検索対象ですから,レポート作成などでも利用するとよいと思います。ふつうに検索すると,本当に玉石混淆,学術的には意味が無いどころか間違った情報を含んだページも結果として表示されますが,こちらでは,もちろんblogは含まれませんし,ある程度の水準以上のものだけが表示されます。
ちなみに,「吉野俊彦」を検索すると,普通のグーグルでは経済学者・森鷗外研究家の吉野俊彦が多く表示されるのだけれど,スカラーでの検索結果は私のものが数多くて嬉しい。

授業中にも確認しましたが,小テストは11月15日に実施します。範囲は後期の今日までのところ。但し,今日紹介した実験の内容は除きます。