共通教育の心理学を休講にして出かけた,兵庫県内のA高校,そして松蔭の授業の後で出かけた京都府内のF高校と2日続けて,高校2年生を対象とした模擬授業に出かけた。
いずれの高校での授業も,とても充実した時間になった。A高校では20名前後が2クラス,F高校でも25名程度の参加者だったが,50分程度の時間に私語も居眠りもなく,とてもまじめに,また積極的に反応しつつ聞いてもらえた。
話の内容はいつもと変わらない。心理学という学問が,非常に広い領域やアプローチを持つものであること,一般的に考えられているかもしれない心理学のイメージとは異なる側面を多く持つこと,日常的なあちこちに心理学の研究テーマが隠れていること,そして,心理学がとてもおもしろい学問であること。付け加えて,心理学を学んで大学を卒業した後のイメージである。
大学にもよりけりだろうが,親和でもほとんどの学生は心理学を学んで一般企業に就職する。どこまでが心理学を生かした仕事をしているかは残念ながらわからないが,そこで学んだことを役立てられるかどうかは,おそらくは当人次第ではないかと思う。
これは高校の先生方から時折耳にする話だが,大学で学ぶことはそのままその学問を生かした仕事をしなければならないと考えている高校生が少なからずいるとのこと。昔のような,教養としての学問をここで引っ張り出してくるほどずれているわけではないが,それでもそうした考えが,ある種専門学校のような学びと仕事とがそのままの形で繋がっている形態のイメージに基づいており,大学での学びを正しく理解していないためであると言わざるを得ない。
資格偏重は,現代の学生の社会で戦うための手段として認めてあげなければならないのだろうが,現在国家資格をひとつも持たない心理学は,そうすると,全く学ぶに値しない学問になってしまいかねない。そうではなく,何かがわかること,何かを知ることという,哲学,科学の原点に戻って,心理学に限らない多くの学問の楽しさを,このような高校での模擬授業で伝えることができればと思うのである。
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