2008年1月9日水曜日

心理学研究法 第12回 (12月17日)


年末年始をずっとさぼり続けて,久々のブログ。すでに年明け第1回の授業は済んでいるのだが,順序通り前回のものから。

小テストの実施に続いて実験のバイアスについてまとめる。ごくごく基本的な倫理的な問題を含んでいるが,倫理の問題は次回話す予定。当たり前だけれど,研究とは研究者が行うものである。研究者は人間である。ひとりひとりが異なる行動特性を持つ人間が行うことであれば,そこには様々な望ましくない問題を抱え込んでしまう危険性が伴う。社会的に大きな問題となったマンション構造の偽装から,昨年のあるテレビ番組でのデータのねつ造,そしてあとからあとから繁殖するように発覚してしまった食品会社の偽装などなど,人間が行っていることには,望ましくない問題が含まれていることがある。実験もそうした人間の行うことである以上,目的であるはずの因果関係の特定を事実から示すのでなく,事実であるはずのデータを改ざんすることで,都合の良い結論を導くことは,ある意味で日常茶飯であるとしても過言ではない。

日常茶飯というのは極端に聞こえるかもしれないが,いわゆるグレーゾーンに分類されるような,そこで扱う現象の因果性がはっきりとしない場合には,研究者やそのスポンサーの都合で,データを改ざんとまでは言わないまでも,都合の良い側面を取り上げて結論を導くことがある。喫煙とガンの発症との関係はその典型であるし,また薬害の問題もその中に含めて良いものかもしれない。

授業では扱わなかったし,言及もしなかったのだが,どのようなバイアスが生じやすいかというだけでなく,常に批判的に(非難や誹謗中傷でなく)物事を見つめることが,実は何よりも必要なのだろうと思う。

画像は,ゼミ生から許可をもらって上げた,今年の初日の出。須磨からこんなにきれいな朝日が望めたのだそう。今年が良い年になるようにという願いを込めて。

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