2008年1月9日水曜日

心理学研究法 第13回 (1月7日)


さて,今年第1回の研究法。つい数年前までは,大学の授業というと,年明けには1回顔合わせがあるくらいでその翌週には試験,1月下旬にはもう終わっていたのだが,最近はまだまだこれから一山である。

まず小テストの返却とフィードバック。模範解答のようなものがほしいという希望がリアクションペーパーにあったため,今回の授業分のファイルとしてアップしてある。

結果は,全体の平均点が9.8点,SDが5.37点だった。ちなみに,2回生だけだとそれぞれ10.8点,5.46点となる。 再履修することは基本的には再学習のはずだから,より理解が深まる可能性があると考えたいのだが,今回の結果だけからはむしろ,意欲を損ねてしまう危険性があるように見える。オリエンテーションでも話すし,個人的にも話すことは,1回目に聞いただけではよくわからなかったことでも,もう一度聞くことできちんとわかるようになるから,たとえば合格点ぎりぎりで単位を取得するよりも,再履修することで80点以上の成績で単位取得する方がよいのではということである。平均点だけを見れば,必ずしもそのようにはなっていないように見える。急いで付け加えなければならないが,もちろん再履修の学生で今回の小テストでも満点だった学生もいるし,すべての学生が意欲を失ってしまうわけではない。

冒頭に図示したのは今回の結果のヒストグラムである。平均点だけで議論することが望ましくないこと,また,分布を確認しないで平均点だけで議論することが意味がないことは,今回の結果においても明らかである。たまたま勉強する時間がなかった学生,小テストが実施されることをしらないまま受験した学生もいるのかもしれないが,17名の学生が4点以下となったのは,私の教え方にも問題があるのかもしれない。その一方で,8名が8割以上だったのは,嬉しいことだった。欲を言うとすれば,12~14点の13名(ここがモード)のあたりが,14~16点に上がれば,もうすこし「きれいな」分布になっていたかということだろうか。

テストは,学生の理解度を測定(当然,妥当性・信頼性が十分に考慮されなければならない)するだけでなく,教員が伝えたいことがどれだけ伝わっているかを測定することでもある。そして,その測定の目的は単に成績評価を行うだけでなく,自分の理解度,伝わっている度を事実として把握した後で,最終的な授業の目的である,「研究法の理解」をどのようにすれば,よりふかめることができるかを考えるきっかけとなるものである。

きょうのリアクションペーパーには,意外によかった,思ったほどとれていなかったなどなど様々なコメントがあった。次回はがんばる。レポートと合わせて死ぬ気でがんばるなどといった嬉しいコメントも少なくなかった。終わったことを悔やんでも仕方がない。これからどうするかが常に大切なのであると,また説教くさいことを考えてみたりする。

飛び石であと2回の授業があるが,次回は信頼性を終わらせて,文化的バイアスと倫理の問題を扱い,そしてレポートのテーマの発表をする予定。気にかかっている学生も多いだろうから,授業で確認した概要をここにも書いておく。

締め切り: 2月初旬(最後の授業の週末)
複数の課題から一つを選択してまとめる
枚数制限はなく,A4版の書式のみを指定する
提出方法は事務,研究室のポスト,メールの添付ファイルのいずれでも可
(但し,ポストと添付ファイルの場合は受領メールを送信する)
30点満点で評価する

最終回(2月4日)にもう一度,小テスト(前回の次のところから次回扱うところまでが範囲)を行い,出席点30点,小テスト2回40点,レポート30点で評価する。

さて,妥当性・信頼性のことを書かないままだが,これについては,次回まとめて。

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