2008年6月25日水曜日

学習心理学Ⅰ: 調査のお願い

もう全く混乱していて,調査のお願いを明日からお願いしていたか,来週以降にお願いしていたか判然としません。

いずれにしても,明日の授業では調査のお願いはありません。来週以降,つまり,7月3, 10日の2日と,休講となる17日の補講日(予定では24日)の3日間に実施します。

高校訪問開始


大学全入時代である。良くも悪くも,大学で勉強したい,あるいは大学で様々な経験をしたいと考える高校生の全数よりも,現存する大学の定員総数の方が大きくなってしまっている。全入時代と言いつつも,自分が希望する大学に必ず入れるわけではなく,どこでもよければ必ず入れるということにすぎない。

大学側は,学力,人間力,その他様々な能力などなどにおいて,よりすぐれた高校生に入学してもらうための努力をしなければならないのは必然である。入試制度の変更,学部,学科やコースの新設などなど,少しでも高校生,高校の先生方,そして保護者の方々に興味関心を持ってもらえばと宣伝して回るのが,高校訪問である。

私もきょうと明日は親和の授業がお休み(調整休講)のために,高校訪問を予定していた。その1日目は大阪市内の高校。鈴蘭台という場所のために,なかなか大阪はおろか阪神間の高校生にも宣伝しにくかった親和だが,昨年より三宮と今年は三田からスクールバスを走らせているおかげか,今年度の大阪からの入学生は近年にない数に上った。ならば,親和のスクールカラーを好んで来てくれる高校生を大阪にも見つけない手はない。とりあえず,オープンキャンバスに,しかも今年から始めた神戸市内の5女子大(西から,神戸女子,神戸親和女子,神戸海星女子学院,神戸松蔭女子学院,甲南女子)が提携してのオープンキャンバスでのスタンプラリーの宣伝を中心に,きょうは7つの高校を訪問した。神戸5女子大のページへのリンクはこちら

資料だけ置いておいてという高校もあれば,40分以上も時間をとってくれた高校もあり,当たり前だが,いろいろである。すべての高校から関心を持たれる大学はおそらく存在しない。それぞれの状況に対応した大学があって,良くも悪くも棲み分けが出来ているのが実状だろう。それでも,訪問する側の立場だけを言ってしまえば,少しでも話を聞いてもらえれば有り難いのが本音ではある。

そこで,大学生にお願いがある。私が関わっている親和であれ,松蔭であれ,自分が在籍する大学がどうであるかを自分の出身校に帰って担任や進路担当の先生方に良い面も悪い面もぜひ伝えて欲しい。それぞれの個性に合う大学が見つけられるように,また高校の先生方がアドバイスされる際に役立つように,ひとりの大学生としての実感はとてもとても貴重な情報なのだということをわかってもらえたら嬉しい。

2008年6月20日金曜日

おめでとう


今までこのブログでは担当している授業を中心として,ゼミについてはあまり言及しないできた。つい最近嬉しい知らせがあったので書いておきましょう。

今年度のゼミ生は4回生が4名,3回生はゼロ(親和のゼミ選択は,基本的に学生の希望を重視するから,要するに私を指導教員に選択した学生がいなかったということである)。4回生の4名の内3名は就職希望なのだが,全員が現時点で内定をもらえたとのこと(あとの1名は大学院進学を考えている)。小学校以来(幼稚園や保育園を含めるともっと長くなるが),16年間に亘る児童・生徒・学生としての生活を終えて社会に旅立つわけだが,その行き先が現時点で決まったというのは嬉しい限りである。行く先々で幸多かれと祈っている。

さて,一方の卒業論文だが,2名の実験・調査がまもなく始まる。ここでアップできる内容があれば随時紹介していきたい。

心理学(共通教育) 第10, 11回 発達

先週,今週の2回で発達を終える。ピアジェもフロイトもハヴィガーストも省略しての発達の話。

発達とは何かという話から,発達段階の区分,発達初期から愛着,青年期から同一性,そして成年以降の発達課題,老年期の問題に言及して終了。

リアクションペーパーから印象的なものを授業でも紹介したがここにも書いておきたい。発達という言葉を聞くと,プラスの方向への変化しかイメージしないが,心理学ではマイナス方向への変化も含むことに驚いたというものや,私たちが日常的に使っている意味とは異なっていることに気づいたというもの。これは心理学のプロパーにもあることだが,使われている言葉がきちんと定義されているかどうかは重要である。また,日常的にも使われる言葉がそのまま心理学用語として流用されている場合には,心理学で意味する内容と日常的な意味との違いに気づかないままになってしまうことがあるだろう。それに気づいてくれた学生がいたことはとても嬉しいことだった。

行動分析学は言葉が難しいとよく言われる。日常的には使われることの少ない用語が行動分析学で使われているのか,その理由を考えてほしい。

さて,7月16日は休講。教室で連絡したとおり,7月30日の1限に補講する。

神戸松蔭 学習心理学Ⅰ第10回 オペラント条件づけ(1) 強化と弱化(罰)


オペラント条件づけへの導入。日常的な場面での行動や選択行動がなぜ生じたり生じにくくなるかについての具体例から,強化と弱化という概念だけを説明する。これらをまとめて反応強化子随伴性と呼ぶことについては,コメントしただけで時間切れになった。ちなみにアップしたファイルにはその説明のためのスライドも含まれている。時間切れになった理由についてはここには書かない。

また,ルール違反といえばルール違反。きょうから出席点をとらないことに突然決めてしまった。きちんと授業を受けている学生には申し訳ないが,前回の小テストのヒストグラムを見てもわかるとおり,きちんと受けていると考えられる学生は出席点が成績に反映されてもされなくても影響はないと考える。学習の定義を正答できた3割程度の学生の平均点は8割を越えるが,そうでない学生の平均点は5割に満たないことからも,それは言えるだろう。

さて,7月17日は休講と話したが,補講はできればその翌週にと教務課にお願いしてある。最終決定は現時点ではできないとのことで,決まり次第掲示されるだろうし,連絡があればこのブログでも報告する。

なお,きょう使ったファイルは青をベースとしていたが,印刷している学生が少なからずいるようなので,背景を白にしてアップしてある。内容に変化はない。ささやかながらインクの節約のために・・・。

2008年6月16日月曜日

認定心理士の申請状況

先週土曜日に認定心理士資格認定委員会に出席しました。6月の認定委員会に間に合うかと思っていたのですが,残念ながら予定が1週間早まったこともあって,今回の委員会には親和からの書類は審査されませんでした。提出してからすでに2ヶ月以上経っているのにという声が聞こえてきそうですが,ここはもう少し待っていただくしかありません。

次回の認定委員会は2ヶ月後,つまり8月の下旬(現在の予定は23日)に予定されています。果報は寝て待てということで,ご了解下さい。

さて,今回も数多くの問題が出てきました。資格申請は原則として個人で行うことになっており,たとえば卒業してからしばらく経ってしまうと,申請に必要なシラバスの入手が難しかったり,教員の捺印をもらうことが難しかったりします。それだけでなく,今回も研究法と実験実習の領域で問題となったために不合格や保留になった申請が少なからずありました。

臨床心理学をカリキュラムの中心に据えた大学の中には,いわゆる基礎的な心理学の研究法や実験実習がきちんと教えられていないようにみえるものがあります。科目名には研究法と書かれていながら,内容は体験実習のようなものだったり,心理学統計法と書かれていながら,その入門編としてのコンピュータ実習のような内容だったり,などなど。申請された書類のひとつひとつについて,シラバスと書かれている内容を吟味しながら,問題がないかどうかをチェックする作業はけっこう大変です。

当初そんなに認定心理士の資格を取ろうとする学生は多くないのではと勝手に想像していたのですが,現実には毎回多くの申請を審査させていただいており,きちんと仕事をしなければと毎回思いを新たに取り組んでいます。

2008年6月13日金曜日

心理学レポート参考文献

レポート作成のための参考文献を紹介する。
1回生のしかも共通教育のための授業だから,図書館などにある一般教養の教科書の該当する章を適宜読んでもらうだけでもよいが,もっと勉強したい学生のために,比較的入手しやすそうなものを選んだ。図書館にあるものが含まれているが,ここでは特定しない。各自で調べてほしい。

A. 知覚・錯視
北岡明佳 (2007). だまされる視覚  化学同人
馬場雄二・田中康博 (2004). 試してナットク!錯視図典 講談社
藤田 一郎 (2007). 「見る」とはどういうことか―脳と心の関係をさぐる 化学同人
フリスビー, J.P. (1982). シーイング 誠信書房
後藤倬男・田中平八編 (2006). 錯視の科学ハンドブック 東京大学出版会
山口 真美 (2005). 視覚世界の謎に迫る―脳と視覚の実験心理学 講談社ブルーバックス

B. 記憶
池谷裕二 (2001). だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法 ライオン社
池谷裕二 (2001). 記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 講談社ブルーバックス
池谷裕二 (2007). 進化しすぎた脳 講談社ブル-バックス
池谷裕二・糸井重里(2005). 海馬―脳は疲れない 新潮文庫
マッガウ, L.J., 久保田競・大石高生(訳) (2006). 記憶と情動の脳科学 講談社ブルーバックス
高橋雅延 (1999). 記憶のふしぎがわかる心理学 日本実業出版社

C. 学習
伊藤正人(2005). 行動と学習の心理学 昭和堂
実森正子・中島定彦 (2000). 学習の心理 サイエンス社
久美沙織(2003). 人生思い通りにコトを運ぶ法 三笠書房
小野浩一(2005). 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館
杉山尚子(2005). 行動分析学入門: ヒトの行動の思いがけない理由 集英社新書
渡辺芳之・佐藤達哉 (2000). 図解心理学のことが面白いほどわかる本―本当のことがホントにわかる! 中経出版

神戸松蔭 学習心理学Ⅰ第9回 パヴロフ型条件づけ(6): 生物学的制約


今回でパヴロフ型条件づけは終了。生物学的制約の話も,理論的に意味があるテーマなのだが,生活実感からすれば,そんなの当たり前じゃないかという話である。けれども,少し考えてみればわかってもらえると思うが,私たちが日常的に「当たり前」と感じていることを,どれだけきちんと説明できるかはとても怪しいのである。

「当たり前」ということばと近いものに,たとえば「ふつう・・・」という表現がある。「ふつう○○するでしょう」,「××するのがふつう」,そしてそれを論拠にして,「あれは変」「変わっている」「おかしいんじゃない?」というような判断がなされているように見える。その「ふつう」というのは,何を基準に「ふつう」なのだろう。

ある人は自分が見聞きしたことを基準に「ふつう」という表現を使うのかもしれないし,またある人は本で読んだこと,別の人は科学的にわかっていることを基準に判断しているのかもしれない。そうした判断基準の違いは措くとしても,私たちが事実として知っていることと,それをきちんと説明することとは同じでないことに気づいて欲しい。授業で紹介した池内了氏の「疑似科学入門」も,そのような私たちの認識の危うさに関わっているものなのである(そのタイトルにある「疑似科学」を理解するというよりも)。危ういからこそ,簡単に何かを信用してみたりしてしまうという意味に於いて。

2008年6月9日月曜日

神戸松蔭 学習心理学Ⅰ第8回 パヴロフ型条件づけ(5): 随伴性空間

さて,パヴロフ型条件づけもいよいよ佳境に入ってきた。先週の信号機能の続きとしての情報獲得の基礎過程としてのパヴロフ型条件づけである。どうしても確率の話をしなければならないために,たぶん取っつきにくい話だろう。2つの確率差分でどのような条件づけが成立するかが決まると言われてもたぶん最初はイメージしにくいと思う。ただ,それが一度わかってしまえば,自分自身の日常的な思いにバイアスがかかっていたことに気づくまでには時間はかからない。

2008年6月6日金曜日

学習心理学Ⅰ 小テスト欠席者対応

6月5日の授業でアナウンスしたように,小テスト当日(5月29日)の授業を正当な理由で欠席した学生は,別紙の要領でレポートを提出して下さい。

2008年6月4日水曜日

親和のロゴマーク: 人に学び,人に生かす


先日のAO入試説明会,そして先週末の大阪,今週初めの姫路,今週末の鈴蘭台,そして来週の岡山と,本年度の入試についての説明会が始まった。大学では多くの受験生に関心を持ってもらうために,少なくない活動を行っている。現在進行中の大学主催の説明会だけでなく,業者が主催するものには,入試課の職員が文字通り休日返上で東奔西走している。

そんな中,私も始めて知ったのは,ここに掲げた親和のロゴマークのこと。もちろん見慣れたものだったのだが,その意味についてはアルファベットのSをデザインしたものという程度の推測にとどまっていた。緑は確かにSだけれど,オレンジ色の丸は何だろうと,尋ねられればなるほどという話である。オレンジの丸は人の頭,つまり,このSにはふたりの人間が集っている,あるいは踊っている姿としての意味が含まれていたのである。そうしてみれば,親和の「人に学び,人に生かす」というキャッチフレーズとつながりを持っていることに気づくには時間はかからない。なるほどと感心できたのは,入学案内が上梓されたためである。

さて,肝心の入試説明会は,絶対数はそれほど多くはないものの,高等学校をはじめとする熱心な先生方にお集まりいただくことができて,入試業務の対外的な始動としては順調と言っていいかな。

心理学(共通教育) 第9回 学習・行動その3

パヴロフ型,オペラントをそれぞれ1日で終わらせる。きょうのオペラント条件づけでは,日常的な行動を例示しながら,強化と罰の概念を十分に理解してもらうことが目的である。ここでも通常の教科書に書かれているようなラットの話もハトの話もほとんどしないまま。

このところ,フロアに出かけて学生の意見を聞きながら授業を進めるようにしている。つい最近(実感とすればもうずいぶん昔のような気がする)の教育実習の見学で感じた,学生を参加させる授業をという試みのひとつである。ただし,マイクを向けられることが苦手な学生には,ひとこと「パス」と言ってもらうだけお願いしている。私の印象とすれば,それほど悪くないのだが,さて,学生ひとりひとりがどのように感じているのだろうか・・・。

松陰の学習でも書いているが,条件づけの言葉は,人間を含む生体の行動を科学的に説明するためものであり,その言葉で書かれた知見を応用することで,困った人たちや困った状況を解決したり,解決の手助けをするためものである。科学的にものを考えることが好きな学生や将来的に臨床や応用的な仕事をしたいと考えている学生は言うに及ばず,日常生活での自分の行動を振り返ったり,より適応的な行動を獲得するためのひとつの方法論である,学習心理学・行動分析学に興味を持ってもらえればとてもとてもうれしい。

きょう,授業内レポートのアナウンスをした。きょう欠席していた学生は,心理学のページにアップしてあるファイルで内容を確認してほしい。また,授業の後で,手書きで提出したいのだが,いわゆるレポート用紙(罫線の印刷されている市販のもの)を使ってもよいかという質問があった。またメールでB5サイズの用紙を使ってはいけないかという問い合わせがあった。A4版であれば罫線が入っていても構わない。ただ,大学でレポート,やがて卒業論文を書くときに,ワープロを使わないことはもう考えにくい。自宅にはパソコンがないとか,あったとしても自分が専用で使うことができにくいといった事情があるだろうが,ワープロを使うことをぜひぜひ薦めたい。