2007年12月6日木曜日

学習心理学Ⅱ@松蔭 第10回 (12月6日)

先週に続いての社会的行動,そして行動と感情の関係の1回目。その前に,霊長類研究所の最近の大きな話題を公開されているビデオで紹介した。

模倣も,表情によるコミュニケーションも,いずれも話題が具体的で身近なためか,リアクションペーパーの内容も比較的豊かだった。これらの背後にあるメカニズムとしての行動分析学につながってこうした現象を捉えられるようになれればよいのだけれど・・・。

たとえば,こんな反応があった。「日本人が外国人の表情をよく評価するのは,素直に喜んでくれる人があまり周りにいないため・・・」とか,「自分は無愛想とかよく言われるが,海外の人と話すときには自然と表情が豊かになっているように感じる。」とか,「昔からの文化によると思う。個人の気持ちを隠して,無心であることこそを美徳としてきた日本人にはしかたのないこと・・・」といったものである。これらは,いずれも,特定の表情をするという「行動」を他者との関わり,つまり行動の随伴性によって形成されたものとしてとらえて,単に,そこに見える現象を記述するにとどまっていない。日本人の表情はわかりにくい,表情が乏しいといった現象を記述するにとどまらず,なぜそうであるかを,行動の随伴性によって説明できることがわかれば,もっとおもしろいと思うのである。前掲のようなコメントが,どこまで行動の随伴性を意識して書かれているかはわからないが,少なくとも関わりを持つコメントであることには変わりない。このように,日常行動を行動の随伴性という視点から見つめられるようになってくれればとても嬉しい。

次回は第2回小テスト。範囲は以下の通り。

第6回 (11月 8日) 言語行動とルール支配行動
第7回 (11月15日)および 
第8回 (11月22日) 選択行動とセルフコントロール
第9回 (11月29日)および
第10回 (12月6日) 社会的行動

但し,選択行動のうち,対応法則の細かいことについては出題しない。いつもの通り,日常的な行動との対応関係が理解できているかどうか,基本的な用語がきちんと理解できているかどうかを確認するためのテストである。

0 件のコメント: