2008年6月13日金曜日

神戸松蔭 学習心理学Ⅰ第9回 パヴロフ型条件づけ(6): 生物学的制約


今回でパヴロフ型条件づけは終了。生物学的制約の話も,理論的に意味があるテーマなのだが,生活実感からすれば,そんなの当たり前じゃないかという話である。けれども,少し考えてみればわかってもらえると思うが,私たちが日常的に「当たり前」と感じていることを,どれだけきちんと説明できるかはとても怪しいのである。

「当たり前」ということばと近いものに,たとえば「ふつう・・・」という表現がある。「ふつう○○するでしょう」,「××するのがふつう」,そしてそれを論拠にして,「あれは変」「変わっている」「おかしいんじゃない?」というような判断がなされているように見える。その「ふつう」というのは,何を基準に「ふつう」なのだろう。

ある人は自分が見聞きしたことを基準に「ふつう」という表現を使うのかもしれないし,またある人は本で読んだこと,別の人は科学的にわかっていることを基準に判断しているのかもしれない。そうした判断基準の違いは措くとしても,私たちが事実として知っていることと,それをきちんと説明することとは同じでないことに気づいて欲しい。授業で紹介した池内了氏の「疑似科学入門」も,そのような私たちの認識の危うさに関わっているものなのである(そのタイトルにある「疑似科学」を理解するというよりも)。危ういからこそ,簡単に何かを信用してみたりしてしまうという意味に於いて。

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