2007年11月9日金曜日

学習心理学Ⅱ@松蔭 第6回 (11月8日)

きょうは言語行動とルール支配行動。スキナーの著作の中で最も議論を呼び,最も難解とされる言語行動の導入として,獲得時の随伴性によって分類できるマンド,タクト,エコーイックの3つだけを紹介する。ルール支配行動が臨床的な,また日常的な問題を理解する上で,学生の関心を惹きやすいと感じるが故に,このテーマをシラバスに載せたというのが本当のところ。
言語行動については避けたい気がしなくもないのだが,ルールについて話すとなると,単に「随伴性を記述した文章」とは定義しにくい。いきおい「タクト」について説明しなければならなくなり,言語行動について導入部分だけでも話す必要が出てくる。

尤も,言語行動は行動分析学を一般の人たちに理解してもらうためのキーとなっていることも否めない。以前は異なる文脈で尋ねていたのだが,今回の言語行動の導入として「ヒトとヒト以外の動物の違い」を書いてもらった。リアクションペーパーに回答が書かれていた36枚のうち,ちょうど半数の18枚が言語であったように,おそらく一般には言語はヒトとヒト以外の動物に線引きをするときにまず最初に思いつくもののひとつであろう。その言語行動も他の,レバー押しに代表されるオペラントとして行動随伴性によって形成されて,維持・抑制されることを理解すれば,行動分析学全体をより深く理解できるだろう。また,行動分析学が「意識」を言語行動であると定義していることから,行動分析学が心的な過程を無視しているというこれもまたよくある誤解の一つを糺すことにもなるだろう。

次回は小テスト。2つの条件づけについては範囲に含めないから,いつもの場所にある第2回から第4回の3回分がテスト範囲。理解しているかどうかをテストしたいのは,いつもそうなのだけれど,日常的な行動を行動分析学でどのように説明しているかということ。後期に入って実験的な内容も含んでいるのだけれど,結局は人間の行動を理解するための手段に過ぎない。要はそこで使われている概念を日常的な行動の説明に使えるほど理解できているかどうかが鍵である。

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