2007年11月24日土曜日

学習心理学Ⅱ@松蔭 第8回 (11月22日)

秋が深まって,少しずつ寒さが厳しくなる頃に,ひどい咳が何日も続くようになったのは,もう10年以上前のこと。一頃(とりわけロンドンにいる間)は治まっていたのだけれど,今年はもう3週間近くになる。水曜日はとうとう大学も休んでしまい,木曜日の松蔭のこの授業も1コマだけこなすのがやっとやっとだった。

小テストの返却と解説,そして前回の選択行動とセルフコントロールの残りの部分。小テストで出題したのは,弁別と般化,刺激統制,阻止の随伴性の用語の理解と,日常例を挙げること。15点満点で7.2点の平均点(SD 4.40点)は予想よりも低め。ただ,12点(8割)以上の学生が受験者63名のうち12名いたことを考えると,まずまずかとも思う。

行動分析学は,ある意味で研究法などの心理学のコアになる科目と共通点があるように感じる。扱うのは確かにごく日常的な現象なのだけれど,例えば発達心理学で,生後24ヶ月の75%のこどもが二語文を話すとか,社会心理学で,対人間の距離と対人間の親密さの関係には相関関係があるといった内容と,その扱い方,アプローチが根本的に異なっている。行動分析学における行動の随伴性は,喩えるなら文法のようなものである。その文法を知らないでいてもことばを話すことはできる。研究法の基本を知らないでも,表面的にその方法をまねることが出来るように。けれども,その基礎を知っていれば,人間の行動の理解,言葉の理解,心理学の研究の理解がより深まることは言うまでもない。

もうひとつ共通点を探すとすれば,扱われる内容が相互に有機的な関連を持っていることだろう。認知心理学で例えばあるテーマについてほとんど何も知らなくても,別のテーマを学習するときに大きな支障を来すことはさほどないかもしれない。それに比べて,たとえば選択行動であれ,阻止の随伴性であれ,基本的な概念を積み重ねて十分に理解しておかなければ,何をやっているか分からなくなってしまう。もちろん細かい内容になれば,相互に関わりが薄いものもあるのだが,何より行動の随伴性についての基礎的な理解がなければ,どのテーマを学習する上でも困難を伴うのは言うまでもない。あるいは,とりあえず小テストがあるから,テストがあるから,文字通り一夜漬け式に勉強して,その次の日には忘れてしまっても構わないというやり方で取り組んでいる学生が少なからずいるのかもしれない。

しかし,セルフコントロールを話す回に,このように体調を崩していたのでは,言行不一致も甚だしい・・・。反省である。

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