2007年11月1日木曜日

心理学科の居場所


尊敬する友人(と呼びたい)のひとり,関西学院大学の中島定彦先生がこの春から在外研究員としてシドニー大学に滞在されている。今更ながら気づいたのだけれど,彼のブログ(シドニー日誌)の初期の記述の中にこんなものがあった。

シドニー大学の「School of Psychology」は「Faculty of Science」に属しているので、まとめて邦訳すれば「理学部心理学科」。他に理学部は、「生物学」「化学」「地学」「科学史科学哲学」「数学統計学」「分子生化学」「物理学」の「School」がある。このことからも心理学が自然科学の1つとして位置づけられていることがよくわかる。

これは,私が学位を取得したUCLでも似たようなものである。心理学科 Department of Psychology は,生命科学部 Faculty of Life Sciencesに所属しており,同じ学部には,解剖学・進化生物学(+医学史), 生化学・分子生物学,生物学,人間コミュニケーション科学,薬学,音声学・言語学,生理学が学科として並んでいる。ここでもやはり心理学は自然科学の一部であることがわかる。

UCLでのスーパーバイザーProf Phil Reedはウェールズ大学のスウォンジー校に異動して数年になる。現在はヨーロッパ行動分析学会の会長の重責も担いつつ,基礎と臨床の両方で活躍中。スウォンジー校の心理学科人間科学部 School of Human Sciences に属しており,応用社会科学 Applied Social Sciences, 児童学 Childhood Studies, スポーツ科学 Sports Sciencesと共に名前を連ねている。

同じ学問であってもそれぞれの国にはそれぞれの歴史があるから,同列に論じることができないことは承知の上で,せめて心理学が「文学部」にいる状況は脱したいと思っているのは私だけではないはずなのだけれど・・・。

1 件のコメント:

Toshi さんのコメント...

きのうの続き。現在科学研究費の「系・分野・分科・細目」(pdfファイルにリンク)での心理学は,法学・政治学・経済学・経営学・社会学・教育学と並んで,社会科学に位置づけられている。ここが適切かについては議論の余地があるだろうが,それでも,哲学・文学・史学などが分類されている人文学よりは居心地として悪くはない。